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日月日誌 hitsuki nisshi

from akiko otsu <来し方行く末と今の日誌>

かんわきゅうだいその① 星野道夫さんのこと

 

今、ひとりでルース氷河に来ています。

ここへ来ると、神話学者ジョセフ・キャンベルの言葉をよく思い出します。
「私たちには、時間という壁が消えて奇跡が現れる神聖な場所が必要だ。今朝の新聞に何が載っていたか、友達はだれなのか、誰に借りがあり、だれに貸しがあるのかそんなことを一切忘れるような空間、ないしは一日のうちのひとときがなくてはならない。本来の自分、自分の将来の姿を純粋に経験し、引き出すことのできる場所だ…」

昨日は満月の夜でした。

ぼくはザックを降ろし、テルモスの熱いコーヒーをすすりながら、
月光に浮かび上がった夜の氷河の真っ只中にいました。
時おりどこかで崩壊する雪崩のほかは動くものも、音もありません。
夜空は降るような星で、まるでまばたきをするような間隔で流れ星が落ちてゆきます。
いつかサハラを旅した友人が語っていた砂漠の‘夜’もこんなふうではなかったかと思います。
砂と星だけの夜の世界が、人間に与える不思議な力の話でした。

きっと情報があふれるような世の中で生きているぼくたちは、
そんな世界が存在していることも忘れてしまっているのでしょうね。
だからこんな場所に突然放り出されると、
一体どうしていいのかうろたえてしまうのかもしれません。
けれどもしばらくそこでじっとしていると、
情報が極めて少ない世界が持つ豊かさを少しずつ取り戻してきます。
ひとつの力というか、ぼくたちが忘れてしまっていた想像力のようなものです。

(『旅をする木』オオカミ より)

 

星野さんの文章自体の時がとまっているようで、

読み進めると一人で氷の上にテントを張っている人の時間に吸い込まれていく。

何年かぶり、何度目かの『旅をする木』。

やっぱり…すごいよ……

旅をする木』 Amazon.co.jp: 星野 道夫:作品一覧、著者略歴

 

星野 道夫(ほしの みちお、1952年9月27日 - 1996年8月8日)は、
写真家、探検家、詩人。千葉県市川市出身。

19歳のとき、神田の洋書専門店で購入したアラスカの写真集を見て、同書に掲載されていたシシュマレフ村を訪問したいと村長に手紙を送ってみたところ、半年後に村長本人から訪問を歓迎する旨の返事がきた。そこで翌年の夏、日本から何回も航空機を乗り継いでシシュマレフ村に渡航する。

……

1989年には『Alaska 極北・生命の地図』で第15回木村伊兵衛写真賞を受賞する。
1993年、萩谷直子と結婚する。翌1994年、長男・翔馬が誕生する。
1996年8月8日の深夜4時頃、TBSテレビ番組『どうぶつ奇想天外!』
取材のため滞在していたロシアのカムチャツカ半島南部の
クリル湖畔に設営したテントでヒグマの襲撃に遭い、死去した。
43歳没。

wikiより。http://bit.ly/2ca7OwZ